自筆証書遺言・公正証書遺言の作成
目次
遺言書は本当に必要なの?
遺言書を書こうと思ったことがありますか?
皆さんは遺言書について考えたことはあるでしょうか?実際、健康で普通に日常生活を送っていれば、突然『そろそろ遺言でも書こうかな。』と思う方はまずいないでしょう。
日本人の三大死亡要因
さて、大抵の方は生命保険に加入していると思います。2019年、厚生労働省発表の日本人の死因の1位は「新生物(腫瘍)」、2位は「心疾患(高血圧性を除く)」3位は2016年までは「肺炎」、2017年は「脳血管疾患」、2018年と2019年の調査では「老衰」が3位となりました。
人は万が一に備えるもの?
おそらく多くの人は、この日本人の三大死因に対して生命保険に特約などを付けて万が一に備えていると思います。生涯、癌にかからない、脳梗塞を起こさないかもしれないのに・・・。自動車保険でも同じ事が言えます。契約が義務付けられている自賠責保険はともかく、多くの人は万が一に備えて任意で自分に合った自動車保険に加入しています。生涯、交通事故を起こさない可能性もあるのに・・・。
遺言書は保険?
『私には残す財産なんて無いから。』、『自分の子供達は仲がいいし、親戚とも上手くいってるから、わざわざ遺言書を書いて残す必要も無いだろう。』…そうかもしれません。しかし万が一、残されたご遺族の間で相続争いが起きたら?あなたがもし遺言書を残していれば、あなたの遺言が最優先され、ご遺族はこれに従うでしょう。遺言書とは万が一起こるかもしれない無用の争いを避けるための『保険』のようなものだと私は考えています。
遺言書の種類
自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言
遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります、状況や目的に合わせて自分に合った方式を選択することになりますが、それぞれメリット、デメリットがあるのも現実です。ここではよく利用される自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴や違いを見ていきましょう。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は遺言者ご自身が全文を自筆で書く遺言書です。
自筆証書遺言の記載事項
自筆証書遺言には、以下の事項を記載しなければいけません。
①全文
②日付
③氏名
自筆証書遺言のメリット
自分ひとりで費用もかけることなく作成することが可能です。手軽で簡単な遺言方法で、紙とペンさえあれば、すぐに作成することができます。また証人が一切不要となっているので、誰にも知られずに作成することが可能である点もメリットと言えるでしょう。
自筆証書遺言のデメリット
厳格に法律で定められた要件や形式があり、書き方を誤ると効力が無効になる可能性があります。一般の方が作成する場合によくある事例で最大のデメリットと言えます。自筆証書遺言は家庭裁判所で検認を受ける必要があります。相続人または代理人が各種書類を用意して裁判所へ行かなければならないので、遺言書を作成する時は簡単で費用がかからなくても、相続発生後は検認手続きなどの処理が必要となります。
公正証書遺言
公正証書遺言は遺言者が手書きで作成する自筆証書遺言とは違い、公証役場の公証人が関与して、公正証書の形で残す遺言書です。
公正証書遺言の方式
①証人二人以上の立会いがあること。
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
③公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
⑤公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
公正証書遺言のメリット
公正証書遺言の最大のメリットは、自分自身が手書きで作成する自筆証書遺言に比べて、公証人関与のもと作成する方法であるため、要件不備で遺言自体が無効になることは通常考えられない点です。また、公正証書遺言は公証人のチェックを受けているため法的有効性が認められ、家庭裁判所での検認が不要となります。
公正証書遺言のデメリット
遺言の有効性を確実に確保できるとはいえ、ほとんど費用がかからない自筆証書遺言と比べると、どうしても費用がかかる点、証人探し、公証人との打ち合わせなど、手間と時間がかかります。公証人や証人に遺言書の内容を話さなくてはならないことはプライバシーの観点からデメリットと感じる人もいらっしゃるでしょう。
自筆証書遺言と公正証書遺言の比較
自筆証書遺言
メリット | デメリット |
---|---|
費用がかからない | 無効になる可能性あり |
手軽に作成できる | 全て自分で手書き |
いつでも書き直し可能 | 紛失や偽造の可能性 |
証人不要 | 家裁で検認が必要 |
内容を秘密にできる | 見つからないおそれ |
公正証書遺言
メリット | デメリット |
---|---|
確実な遺言作成が可能 | 費用がかかる |
口述で遺言書が作れる | 時間がかかる |
紛失や偽造の心配なし | 手続きが複雑 |
家裁で検認が不要 | 証人2名が必要 |
無効のリスクが少ない | 完全秘密で作れない |
遺言書を書くタイミングはいつ?
結論から言ってしまいますと『いつでも良い。』になります。結婚や出産など、人生の大きなイベントがあった時にお考えになる方。体力の衰えを自覚し始めた時など、きっかけは様々あると思います。個人的には、人生の折り返し地点あたり、40歳から50歳位、気力もあり、元気なうちに一度遺言について考えてみるのも良いのではないかと考えています。
このページをご覧の方は『遺言、書き方』などの検索ワードでご訪問頂いたのだと思います。あえて遺言書を書くタイミングはいつが良い?と尋ねられたら遺言に興味を持ちこのページを見つけて下さった、今が貴方にとって遺言書を書く最適のタイミングなのかもしれません。
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